日本経済復活のカギは「プレゼン力」

経団連と早稲田大学は今年の秋にも、共同でプレゼンテーション研修センター(仮称)を設立する。日本人の弱みとされるプレゼン力を底上げし、輸出競争力の回復、さらには日本経済の復活につなげたい考え。

同センターではまず、iPod、iPhone、iPadなどのヒット商品を次々と産み出した米アップルコンピューターの元会長、故スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンを徹底的に分析。その構成力やトーク力を日本企業に取り入れる方針だ。

センター長に就任予定の加宮正徳早大教授は、日本経済低迷の最大の理由は「伝える力」の欠如だと指摘する。「日本のものづくり技術は依然として高水準。メッセージを的確に相手に伝えるスキルさえ磨けば、競争力を回復できるはずだ」

研修はこの秋から始まり、来春にも初の修了生を世界各地に送り出す見通し。プレゼンの説得力を裏打ちする「政府債務の対GDP比較219%」「高齢化率23.1%」「過去6人の首相平均在任日数354日」といったデータの収集やグラフの作成も着々と進んでいる。

「欧米や中東、ロシア、中国の投資家に日本経済の暗い将来をアピールして、円相場を安く導くことができれば、国産液晶テレビも半導体も価格競争力が強まり輸出が急増するのは確実」と、経済産業省の高官は指摘する。

その一方で、米系証券会社のアナリストは「ネガティブな情報もポジティブに伝えてしまうのがジョブズ流プレゼンの怖いところ。一段と円高が進む可能性がある」と警鐘を鳴らす。ファンドに日本の経済破綻の恐怖感を植え付けるためのプレゼンなら、稲川淳二という絶好の手本が国内にいるとの声も根強く、今後もしばらくはプレゼン手法をめぐる論争が続きそうだ。

カテゴリー: 経済 パーマリンク