力士のギャンブル、野球賭博以外にも

 日本相撲協会の聞き取り調査で、一部の力士が「デリバティブ」と呼ばれる派生型金融賭博にも深く関わっていたことが明らかになった。野球賭博問題以上に大規模でハイリスクなギャンブルが角界を汚染していた事態に、改めて批判が集まりそうだ。

 相撲協会によれば、力士が取引していたのは株価指数先物、株価指数先物オプション、通貨オプションなどの金融賭博商品。予測が当たれば高収益が手に入るものの、思惑が外れて賭け金の数十倍、数百倍の損失を被ることもある、極めてリスクの高いギャンブルだ。

 調査委員長の富士嶽親方(元小結大火龍)は「巡業中の稽古の合間などに花札などで遊ぶ昔からの風潮が高じて、デリバティブに手を染めてしまったようだ」と説明する。角界には「小よく大を制す」が尊ばれる風潮があり、少額の証拠金で大規模な取引を行うデリバティブが受け入れられやすい素地もあった。

 個々の力士の損益状況は明らかにされていないが、角界筋によれば、好況時には勝ち越す力士が多かったものの、リーマン・ショック前後から負け越しが目立つようになった。最近では「黒星街道まっしぐら」状態から抜け出せない力士も少なくない。なお、運用益を現金で受取るさいには、すべての力士が手刀を切っており、この点では相撲規則に違反する行為は確認されなかったという。

 相撲協会では近く全力士を集めて講演会を開き、英ベアリングス銀行、慶応義塾大学、サイゼリアの失敗を教訓に、デリバティブに潜む危険性を周知徹底する方針だが、長年続いてきた賭博の習慣が一掃されるかどうか、疑問視するむきもある。このような角界の先行きへの不安を反映してか、11日の両国年寄株市場では1年の年寄株先物終値が前日比5%の下げとなった。

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