政府・日銀がドルの「ケア」に本腰

 日本銀行と厚生労働省は17日、外国為替市場に対して初めて介護保険法を適用し、市場介護に踏み切った。従来のドル買い円売りによる市場介入では、脆弱化したドルは支えきれないと判断した。輸出産業を中心にドルの基礎体力回復への期待が高まる反面、介護保険料の負担が増える現役世代の反発が強まりそうだ。

 17日に行われた市場介護は、▽ドルが些細な情報につまづいて急速に値を下げるのを防ぐためのスロープ設置、▽ドルの暴落を未然に防ぐための手すりの設置、▽日本時間の夜に海外市場での暴落を食い止めるための24時間体制のヘルパー配置、などの内容だ。これらの介護策の発表を受けて同日の外為市場ではドルへの信頼が一定程度回復し、円売りドル買い注文が殺到。円高傾向に歯止めがかかった。

 しかし、大手居宅介護支援事業所に所属するケアマネージャーによれば「ファンダメンタルズを見る限り、ドルの体力は80歳台相当」。長期的には円高傾向が続く可能性もある。あるメガバンクの外為ディーラーも、「空前の水準に達した円高を、日本製品の輸出競争力が回復する水準まで引き下げるには手厚い介護策だけでなく、ラジオ体操や乾布摩擦、1日5分の散歩といったドルの足腰を強化するための自助努力が不可欠だ」との見方を示す。

 一方、中国やインド、ブラジルといった新興経済と比較すれば、日本の実体経済の体力も決して強くはなく、当局がいつまで市場介護を続けられるかは不透明な状況だ。外為市場やグループホームでは「老老介護が破たんするのは時間の問題」といった冷ややかな声も出始めた。

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