「おじさんに感謝」ラップソングを募集

 日本おじさん総評議会は「おじさんに捧げるラップソングコンテスト」を開催する。応募作品のなかから優秀作品を集めたCDを発売するほか、インターネットで一部の作品を着うたとして配信する。総評議会の関係者は、低下しつづける伯父や叔父の地位向上につながればと、ラッパーの影響力に期待を寄せる。

 反社会性を売り物とするロック、悲しみや未練がテーマになりがちな演歌などと比較して、日本国内におけるラップ音楽は感謝のメッセージ性が強いといわれる。しかし感謝の対象は恋人、妻、母、父、音楽仲間、ライブの観客、CDの購入者に限られており、血縁上は決して遠くない存在であるはずの伯父、叔父は完全に無視されてきたのが実情だ。

 もともと敵対関係にあった日本伯父連合と全国叔父連盟は、血縁型おじさんを囲む社会環境が年々厳しくなり、氏名や素性のわからない非血縁型おじさんによる犯罪が相次いだことに対応して1998年に合併し、おじさんの地位向上のためにさまざまな活動を展開してきたが、その後も地盤沈下に歯止めがからない。母親系団体、いとこ系団体などからは「おじさんはもう不要なのではないか」と、その存在意義を問う声が公然と噴出するようになっている。

 ここにきて、父母の兄である伯父と、父母の弟である叔父の間の不協和も漏れはじめた。事情に詳しい、いとこ団体関係者は証言する。「伯父には、東京や大阪から来たおいやめいを1週間預かって郷土の海の幸や山の幸を腹一杯に食べさせるなど、有形無形の支援を提供してきた実績もあるが、比較的年齢差の小さい叔父は、ゲームの裏ワザを教えてあげたり、恋の悩みをひたすらうなずきながら聞いてあげた経験しかなく、おいやめいの印象にもほとんど残っていない。伯父のサイドでは叔父との共倒れを懸念する声が強まっている」

 このような状況の下、総評議会内の叔父系勢力が注目したのがラッパーがもつ社会への影響力だった。「彼らが音楽に載せておじさんに感謝しようと呼びかけてくれれば、若者が私たちに向ける視線も変わってくるはずだ」と総評議会の下崎孝雄副会長は語る。ラップ以外のサブカルチャーの担い手は感謝の表現に不慣れで、感謝してくれそうなのがラッパーだけという事情もある。

 音楽評論家の敦賀康史さんは「ラップを聞く側の立場で考えても、そろそろ母や仲間への『ありがとう』の連呼は聞き飽きたというのが本音だろう。おじさんに捧げる感謝ソングは過去に例がなく、ラップ界が新たな方向性を打ち出すのにも役立つのではないか」と、おじさん界の取り組みを前向きに評価する。

 コンテストは10月15日から月末にかけて開催される予定。応募条件は「血縁関係のない『おじさん』は感謝の対象に加えないこと」だけだ。優秀作の作者には賞品として、叔父の間で受け継がれてきた「スーパーマリオブラザース3」の裏ワザが伝授される。

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