マクロからミクロへ 日本経済を救う道具

 日本経済を危機から救うと期待されているその道具は、長さ約30センチ、太さ約1.5センチと意外なほど小さく、構造も極めてシンプルだ。「スパイラル・ストレッチャー」を考案した、本間京治・埼玉大学経済学部教授が実際に使って見せてくれた。先端から息を吹き込むと「プー」という音が響き、反対側で渦を巻いて丸まっていた油紙製のホースがまっすぐに伸びる。単価85円のこの奇妙なツールは、本当に日本の救世主になるのだろうか。

「いま必要なのは、マクロではなく、ミクロ的な政策」と、本間教授は語る。「悪循環を断ち切るには、国民一人一人がこのツールを活用するしかない」。一般家庭の所得が減少し、国民は日に何度もため息をつく。気分は憂鬱になり、出費は抑制され、需要は冷え込む。企業は収益の悪化に対応して人員合理化や賃金抑制などの対応を講じる。一般家庭の所得がさらに減少する。このような悪循環を構成する鎖の環のうち、唯一、防ぐことができるのがため息だ。

 本間教授が1000世帯以上を対象に行った調査では、給与明細や家計簿を見てため息をつく瞬間に、「スパイラル・ストレッチャー」を口に装着された人のうち87%が、「プー」という響きの作用で倹約が馬鹿馬鹿しいと感じるようになった。彼らはすぐに、居酒屋でビールをもう1本注文したり、夕食を作らずに出前を頼んだりして景気拡大に貢献する。「プー」1回あたりの平均支出額は125円、ため息の回数は1人平均4.56回/日だから、国民すべてが「スパイラル・ストレッチャー」を使えば、民間消費は年24兆円増加することになる。

 一部の経済学者は、空気を吹き込むことにより刺激された景気は、実体の裏付けがないためにすぐに萎んでしまい、「スパイラル・ストレッチャー」の効果は持続しないと主張している。このため本間教授は、さらに深刻な不況にも対応するべく、前方、右側、左側に伸びるホース3本を装着した効果3倍の「スパイラル・ストレッチャーX3」(単価152円)を開発中だ。

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