首の可動域、10年前の半分

 日本自動車運転医学会の調査で、自家用車を運転する人の首の最大回転角の平均値が10年前の半分に狭まっていることが明らかになった。バックカメラの普及が理由とみられ、今後も縮小傾向が続くとみられる。

 約30年前まで、日本のドライバーの大半は背中を運転席にぴったり付けた状態で頭を180度回転して後方を確認することができた。狭い倉庫の中で作業することの多いフォークリフトのオペレーターは「270度」が採用の条件とされていた。

 こうした状況に変化が生じたのは、車体後方に取り付けられた小型のビデオカメラで撮影した映像を、コンソールパネル中央に設置したモニターに映し出す「バックカメラ」が登場した1990年ころから。当初はバスやトラック向けの装置だったことからまずバス、トラックのドライバーの身体に変化が生じ、装置が低価格化、小型化するに連れてマイカーのドライバーにも影響が広がった。

 日本自動車運転医学会が2009年に一般とプロのドライバー約1000人を対象に行った検査では首関節が回転する平均角度は79度(悪霊に憑依された人を除いて集計)。2019年の調査では42度しかなかった。

 調査にあたった姫路工業大学の三波幸樹教授(臨床運輸工学)は、「カメラの高性能化も影響してドライバーが目次で後方を確認する機会はこれからも減少が予想され、可動域の縮小が健康上の問題を引き起こすことも考えられる。モニター上に『使いすぎは肩こりの原因になります』といった表示を加えて注意を喚起することも必要なのではないか」と指摘する。

 自動車の機能が人体に影響を与えた例としては、他にも、1970年代から80年代にかけてクラッチベダルのない車の増加により足が3本から2本に減少したことが知られている。

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