王手飛車角金銀取り

 四次元将棋名人戦の第二局が長崎市の料亭、出島で行われた。先手は挑戦者・三田大作竜王、後手は七番勝負の第一局を制した山本久男・現名人だ。

 序盤、三田竜王は四次元空間の片隅(9,9,9,9)に王を寄せる4D穴倉で守りを固めようとしたが、空間が閉じていなかったために、山本名人がいきなり(1,1,1,1)に銀を下げ王手。万事休すと思われた三田竜王だが、(1,1,8,9)に潜んでいた桂馬でこれを取り、王手飛車取りで切り返した。

 「あ、しまった」と扇子で額を打った山本名人、長考2時間のあと、(4,4,4,4)にあった角の存在を思い出して(1,1,1,1)の桂馬を切り、王手飛車角金銀とりで反撃、三田竜王も同飛車で、四方八方ならぬ百二十一方二百四十二方からじわじわと敵の王に近づく。

 三十分後、山本名人の(6,6,8,7)歩は起死回生の一手になるかと思われたが、立会人の広川伸介八段が三田竜王の勝ちを宣言した。山本名人は(6,1,8,7)にも歩を置いていたため、二歩と判断されたのである。

 感想戦で(7,9,1,9)に自分の桂馬があり、相手に王手をかけていたことに気がついた山本名人、「やはり四次元は奥が深いですね」とうなずくことしきりだった。

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