TPP参加なら「前株」社名は禁止

TPP交渉で先行する各国がこれまでの協議で、株式会社の呼称に関する最終合意に達していたことがわかった。日本国内における「前株」の使用を事実上禁止する内容。日本の株式会社の約8割を占めるとされる前株に及ぼす影響は甚大で、「日本つぶしがTPPの中心的存在である米国の狙い」といった見方が生じている。

日本の会社法によれば「株式会社○○」(前株)でも「○○株式会社」(あと株)でも社名として表記が可能であり、約180万社の株式会社のうち約8割が前株状態。一方、TPP交渉に参加している日本以外の7ヶ国は英語(「Corporation」「Co., LTD.」や「Limited」など)でも現地語でもすべてあと株状態だ。世界的にも前株が存続しているのは日本しかない。

これまで放任されてきた自国語表記にまで踏み込んで社名規制が強化されようとしている背景には、米通商代表部のジョン・マッコイ副代表から各国に対する水面下での執拗ともいえる働きかけがある。マッコイ氏自身も「日本語を覚えた外国人ビジネスマンにとり、日本市場への最大の参入障壁が前株・あと株の並立状態であり、日本が国際社会のプレーヤーであり続けるなら前株を即刻禁止すべきだ」と言ってはばからない。

申し訳なさそうな表情を浮かべるのは根菜を専門に取り扱う群馬県内の問屋の社長、前田忠義氏だ。

「5年ほど前にある会合で、当時は東京の米国大使館に勤務していたマッコイ氏と知り合った。うちの社名は『まえかぶ株式会社』。悪いことにネット販売の子会社は『株式会社アットカブ』。『まえかぶ』があと株で、『アットカブ』が前株であることをマッコイ氏に繰り返し説明したのだがわかってもらえず、最後は『イッツクレイジー』と叫んでどこかに走っていってしまった」

社名規制のきっかけはともかく、日本がTPP交渉に参加する以前に合意済みのことがらを、あとから修正することはできない。日本はいま、前株禁止を受け入れるか、TPP参加そのものを取りやめるかの選択を迫られている。

国内の前株企業がすべて後株に社名を変更すれば、カレンダー、名刺、会社パンフレット、看板、会社登記などの変更にともない、印刷業界、広告業界、司法書士などにもたらす商機は巨大だ。その一方で、それぞれの企業が多額の出費を強いられ、収益の一時的な悪化は避けられない。

経済評論家の福井和成氏は、あと株強制を肯定的に受け止める専門家の一人だ。

「前株をあと株に、あと株を前株に言い間違えたり、間違えられたりして気まずい思いをした経験は、会社員なら一度や二度はある。前株とあと株が混乱を招いているのは明らかであり、国際的なすう勢からも逸脱している。TPP加盟を機に『ガラパCOス』状態からの脱却を目指すべきではないか」

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