円安誘導は適正か、決着はスポーツ界で

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためモスクワを訪れていた麻生太郎財務相は、会議終了後に記者団の質問に答え、日本の政府や日本銀行が円相場を安く誘導しているのは適正であり、国際社会が妨害するならスポーツ仲裁裁判所(スイス)に訴えると語った。

16日夕方に閉幕したG20では、通貨切り下げ競争を回避するよう求める声明が採択された。名指しこそ避けたものの、金融緩和で円安と輸出競争力の回復を目指す「アベノミクス」を牽制したかたちだ。

財務省の高官は声明の内容に強く反発する。「アメリカも韓国も中国も、これまで通貨を安くして日本をいじめてきたではないか。何より、円が弱くなったからといってルールを変えるのは、国際的な慣習法に反する」

この高官が指摘するのは、強い日本にはルールを変更して対抗することが許されるという暗黙の国際的ルールの存在だ。とくにそれが顕著なのがスポーツ界。水泳、スキー・ジャンプ、スキー複合など、日本人選手の躍進が目立った競技ではいずれも、欧州が強い発言力をもつ競技団体が日本人にとり不利なルールを導入してきた。女子選手がオリンピックでメダルを量産していることから、IOCが競技をまるごと締め出したレスリングも「日本シフト」の一例だとの見方が強まっている。国際社会が弱い円を認めないとすれば、過去のルールからの逸脱は明らかだ。

スポーツアナリストの多くは、スポーツ仲裁裁判所が円安誘導を否定すれば、これまでの慣習との整合性がとれなくなることから、アベノミクスを黙認しないわけにはいかないとみる。一方、過度な円安が自国経済に悪影響を及ぼすと懸念するロシア、中国、インドなどの新興国は「アベノミクスは経済ドーピング」だとして、世界反ドーピング機関への提訴に向けた動きを水面下で加速させている模様だ。

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