最高裁が衆院選差し止め求める申し立て

最高裁判所は6日朝、東京地裁に対して、16日に投開票が行われる衆議院議員選挙の差し止め仮処分の申し立てを行った。差し止めの是非を判断する立場にある最高裁が、当事者として申し立てを行うのは極めて異例。「一票の格差」をめぐる争いが新たな局面を迎えた。

最高裁長官と最高裁判事合計15人は連名で提出した申立書の中で、「国政選挙が違憲状態で行われたとの判決が繰り返されたにもかかわらず、抜本的な区割り変更や選挙制度改革のないまま衆院選が行われるのは司法軽視に他ならず、許しがたい」と指摘している。東京地裁の窓口担当者は、最高裁から地裁への申し立てが有効かどうか疑問が残るとして一時受理を拒んだものの、最高裁は人事権を発動して窓口担当者を交代させ、強制的に受理させた。

今回の申し立ての理由は、表向き、議席数を有権者数で割った「票の重み」の不平等だが、ある最高裁裁判官は、唐突な行動の背景には衆議院議員選挙と最高裁判所裁判官国民投票の間の不平等、さらに言えば衆院選挙の候補者への嫉妬があると明かす。

「彼らは選挙カーに乗り、マイクを握って叫ぶ。公示前にはテレビにも出演できる。私たちには公約を発表する手段も、有権者と握手する機会も与えられない。失職したって構わない。一度でいいからあのタスキをかけてみたい」

総選挙と同時に行われる最高裁裁判官国民投票は、有権者が問題ありとみた裁判官を最高裁から追放するしくみだが、「出馬」する裁判官は選挙活動を禁止されている。有権者にはそれぞれの裁判官が過去下した判決のうち主なものが文面で提示されるものの、法律の専門家でない限り、その意味は理解できない。最高裁裁判官の側にも、どんなに懸命に職務に当っても国民にわかってもらえないことへのいらだちと、連日マスコミが大々的に報じる衆院選への嫉妬が募っているとの見方は、かねてからあった。

申し立てに対して東京地裁が下す決定が注目されるが、衆議院が譲歩しない限り、決着が最高裁までずれ込むのは確実。いわばホームグラウンドである法廷で争っている限り、最高裁優位は動かない。

三権のうち二権の深刻な対立に、残る一権である行政府は困惑しており、内閣法制局からは折衷案として、衆議院議員と最高裁裁判官が同じ選挙区で入り乱れて戦う交流戦方式が提案された模様。ただ、現在の最高裁裁判官国民投票と同じルールで交流戦が開催された場合、衆院選候補者はことごとく過半数の「×」を集めて失職する可能性が高いことから歩み寄りは困難。最終的には最高裁で最高裁の主張が認められ、裁判長自ら「勝訴」の紙を掲げながら法廷の外に走り出る異常事態となりそうだ。

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