能と水中バレエが初めての共演

日本の代表的伝統芸能である能と水中バレエが、二十日、東京都江戸川区の葛西臨海水族園で共演し、詰めかけた観衆や回遊するマグロの喝采を浴びた。

この日の題目は、平家物語に取材した「俊寛」。まず、鬼界ヶ島に残された俊寛が、大赦にもかかわらず一人だけ島に残され、慟哭する場面を能役者の観世英巣乃丞が演じた。続いて登場したのが水中バレエの市川蛸八郎。水中バレエ独自の解釈に基づき、俊寛が本土に帰ろうとして海の底を走り、力尽きて心優しいアワビやイソギンチャク、アメフラシに慰められる場面を力演した。

佐渡の海女に源流を発する水中バレエと、観阿弥・世阿弥が大成したとされる能はいずれも六百年以上の歴史を持っているが、かたや陸上芸能、かたや水中芸能という違いのため、これまで交流する機会がほとんどなかった。能役者にとっても、水中バレリーナにとっても、今回の共演はかなり刺激になったよう。市川蛸八郎は、今度はスーパーカブキの代表作、「俊寛雲に乗る」を交えて陸海空の同時演技を実現したい、と意気込みを語っていた。

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