山中氏ノーベル賞で内部対立浮き彫り

山中伸弥京都大学教授の2009年以降のコピーで作る「新山中教授の会」は、ノーベル生理学賞の賞金400万スウェーデンクローナの支払い差し止めを求める仮処分申請をストックホルム地裁に提出した。山中教授内の内部亀裂が表面化したかたちだ。

もともと世界に1人しか存在しなかった山中教授は2006年に自らの体内から摘出した細胞をベースにiPS細胞を開発。これを元にもう1人の山中教授を作成した。オリジナルの山中教授とコピーの山中教授もそれぞれiPS細胞を利用して山中教授を作成するなどその後も自己増殖が続き、今年世に出た16世代の山中教授は6万5000人以上に達する。

急激な山中教授の増加を追い風にiPS細胞の研究は急ピッチで進み、再生医療への活用まであと一歩のところまでこぎ着けた。山中教授がiPS細胞の開発から6年という異例の早さでノーベル生理学賞を受賞したのも、自らを複製して研究を迅速化するという斬新な手法が評価された結果だ。

その一方で、累計で13万人を突破した山中教授間のうち、いまも研究を指導する立場にあるのは1000人程度。約3000人が実験作業や論文作成、1万人程度が試験管の洗浄やパソコンの修理といった裏方の仕事に就いているものの、研究職からあぶれた山中教授も10万人以上おり、「山中格差」の拡大が問題になっている。「新山中教授の会」の参加者の大半は年収180万円以下とされ、賞金支払い差し止めの仮処分申請に続いて、研究成果から発生する収入の公平な分配を求める何らかの行動を起こすとみられる。

法廷での争いになれば双方が優秀な弁護士を大量にコピーして弁護団を結成するのは確実。原告、被告、双方の弁護士、傍聴人、そして裁判官まですべて大量の山中教授という異例の集団訴訟となりそうだ。

カテゴリー: 科学 パーマリンク