風船の友情

小学生が風船とともに飛ばした手紙への返事が、25年振りに届いた。風船を飛ばしたのは、当時、岩手県釜石市立第三小学校の6年生だった佐々木奈美子さん。現在は37歳、3児の母として家事や子育てに追われている。

返事の差出人はベデルギウス第18惑星、ロリダレヘミオの住人、ヘミゲ・カピサキリレス君。偏西風に乗ってアメリカまで飛ぶはずだった風船が、太陽風に乗ってロリダレヘミオまで届いたらしい。

返事をロリダレヘミオの郵便ポストに入れた当時、ヘミゲ君は11歳だった。ロリダレヘミオの1年は地球の110年に相当するが、ロリダレヘミオ星人の寿命は8千年以上なので、掛けて割ると小学生になる。

返事はこう始まっている。

 奈美子さん、こんにちは。ぼく、ヘミゲ。11歳の男の子です。歯は56本あります。クラスで一番尻尾が長く、皮が厚くて固いのが自慢なの。嫌いなものは野菜。パパ、ママがいつも野菜を食べろ、野菜を食べろとうるさいので、家出するかもしれません。 速達で、プレゼントのTシャツを贈りました。胸にぼくとぼくのいとこの似顔絵をかきました。右を向いているのがぼく、左を向いているのがいとこです。速達で地球に送るので、待っててください。

奈美子さんはこのTシャツを受け取っていない。成田の税関がラコステ、クロコダイル製品のコピーだと判断し、没収処分にしてしまったのが原因らしい。

返事は続く。

 「奈美子さんは、写真を送ってくれなかったからわからないけど、どんな人なのか、楽しみだなぁ。 本当は、ぼく、もう決めました。家出します。しばらく奈美子さんの家に泊めてください。泊めてもらうだけでいいんです。フォーク、スプーンとか、調味料はぜんぶもっていきます。奈美子さんの家の近くでてきとうに動物をつかまえて食べます。ぼくは二本足で歩き、毛の少ない動物が好きなのですが、奈美子さんの家の近くにはいますか? それでは、お会いできる日を楽しみにしています。駅についたら電話します。

ヘミゲ・カピサキリレス

彗星マニアらの調べによれば、ベデルギウス方向から飛来した物体が、1週間ほどで地球の大気圏に突入する見通し。ヘミゲ君から電話がかかってきたら、奈美子さんは駅まで這って迎えにいくことにしている。

カテゴリー: 社会 パーマリンク