クラスター洗濯乾燥機、5年以内に実用化へ

 室蘭高等工業専門学校の研究者らが、乱雑に脱ぎ捨てられた衣類のかたまりをそのままの状態できれいにできる「クラスター洗濯乾燥機」の開発に成功した。複数の家電メーカーから商品化に向けた共同研究の引き合いが来ており、早ければ5年以内に商品化されそうだ。

 技術開発を行っているのは同校の角田敦助教らのグループ。研究室に独身男性の暮らすワンルームマンションを再現し、角田助教自ら実験台となって行った実験では、脱衣場の床に無造作に脱ぎ捨てたジーンズ、タイツ、パンツ、靴下のかたまりが、そのまま機器に投入され、洗濯と乾燥の工程を経て、55分後にかたまりの状態のまま取り出され、床の上に戻された。長風呂を楽しんでいた角田助教が全身をバスタオルで拭いてから、かたまりの中に両足のつま先を入れ、パンツ、タイツ、ジーンズの縁をつかんで引き上げると、服を脱ぐ状態の前に戻った。

 財団法人日本被服研究協会の調査によれば、日本人が服を1枚ずつ脱いでたたむ時間は1人平均2分14秒。自分では脱衣や衣服の整頓ができない乳幼児、高齢者をのぞいても、日本全体で毎日、のべ313万時間が費やされている。最低賃金をもとに計算すれば、毎日21億円が無駄になっていることになる。

 クラスター洗濯乾燥機の開発には、過去にも多くの家電メーカーや研究機関が挑んでいるが、洗浄の途中でかたまりが分解してしまう、下着の汚れが落ちにくいなどの欠点があった。角田助教らのグループは、洗浄槽に投げ込んだ衣類のかたまりの上からネットを当てることで分解を防ぐとともに、超音波洗浄装置も内蔵することで十分な洗浄力を確保した。

 しかし、開発前に設定された「左右の靴下がズボンの左右の裾から出ている状態を保ったまま洗う」という目標はまだ達成されておらず、全国で年間8万件起きているとされる靴下片方紛失事故が減少に転じるのは、当分先のことになりそうだ。

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