食品使って洪水対策

 国土交通省は国内の食品メーカーや地方自治体と協力して、来年度から食品を使った水害防止事業の基礎研究に着手する。大規模な土木工事による河川改修から脱却。雨が降った直後に水を吸収することで、大幅なコストダウンにつなげたい考えだ。

 初年度となる2011年度には、和歌山県高野町で高野豆腐を1世帯あたり20キロ程度配布。1時間に50ミリ以上の豪雨が降ったさい、家の周辺に散布するよう呼びかける。高野豆腐20キロあたりの吸水量は小中学校のプールひとつ分に達することから、河川にはほとんど雨水が流れ込まなくなり、下流域での水害防止効果が期待できる。

 このほか、吸水資材としての性能が注目されるのが乾燥しいたけ。国内を代表する生産者の大分県椎茸農業協同組合では、「乾燥しいたけ1年分の吸水量は5年分の降雨量に匹敵する」と説明する。

 しかし、「食材ごとの特性をよく理解してから実験に移るべき」と警鐘を鳴らす専門家も少なくない。昭和62年には瀬戸内海に浮かぶ香川県の志茂島に1時間60ミリの豪雨が降り注ぎ、島内に備蓄されてい「ふえるワカメちゃん」が散布されたが、大量の水を吸収して体積が5000倍以上に膨張。水害は防いだものの、その後も異常繁殖が止まらず、3日後には島民が全員島外に避難した。20年余りが経過したいまも島全体が鬱蒼としたワカメちゃんジャングルに覆われたままだ。

 饅頭やせんべいといった喉が渇く食品のほうが水害防止効果は優れていると指摘する声もあるが、豪雨を利用して大量のお茶を煎れる技術はまだ確立されておらず、実用化までにはかなりの時間がかかりそうだ。

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