シミュレーションで判明、天岩戸に開かないおそれ

 國學院大學と東京大学の共同研究で、天岩戸(あまのいわと)の扉が完全には開かない危険性のあることがわかった。世界の暗闇化を防ぐため、より周到なフェイルセーフのシステム構築が求められそうだ。

 建速須佐之男命(たてはやすさのおのみこと)の乱暴な振る舞いに怒った太陽神の天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に閉じこもったために、世界は闇に包まれた。天宇受賣命(あまのうずめ)が猥雑な踊りを見せると八百万の神の笑いが高天原が鳴り轟き、天照大御神が何事かと天岩戸の扉を少し開けたすきに、隠れていた天手力男神(あめのたぢからお)がその手を取って外へ引きずり出し、世界に光が戻ってきた──以上が、これまで広く信じられてきた「対策」のあらましだ。

 しかし、國學院大と東大の研究者チームがスーパーコンピューターで行ったシミュレーションの結果によれば、▽天岩戸の内部に外の音が聞こえず天照大御神が好奇心を示さない、▽天手力男神の体調が思わしくなく充分な力を出せない、▽いったん外に出てきた天照大御神が天岩戸の内部に戻ってしまう、など長い間「想定外」とされていた状況が発生し、世界が永遠に闇に包まれるリスクが存在することがわかった。

 研究チームを指揮した東大大学院の小野拓准教授(危機管理)は、「日本の安全神話が、古事記が成立した8世紀初頭にはすでに崩壊していたことが初めて浮き彫りになった。神話だけに頼っていては不測の事態に対応できない」として、ももたろう、ごんきつね、赤ずきんちゃんも投入する「安全童話」によるバックアップの体制を速やかに整えるべきとの見方を示している。

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