震源受け入れ、続々と拒否

 東京大学地震研究所が先ごろ、首都圏で4年以内にマグニチュード7級の直下型地震が70%の確率で起きる可能性があるとの計算結果を発表したことを受け、首都圏の自治体が早々と震源受け入れ拒否の姿勢を明確にしている。気象庁も震源決定の明確なルールは示しておらず、地震発生の直前までドタバタ劇が続きそうだ。

 埼玉県北部の坂川町では、倉田真也町長が「町民感情を考えれば本震・余震かを問わず、震源受け入れは到底受け入れられない。町内の自動車部品工場閉鎖で地域経済が疲弊しているいま、地震が起きれば町が壊滅する。町内での地震発生は絶対に阻止したい」と答弁し、満場の喝采を浴びた。

 町の幹部は「町内に断層がないわけではなく、地震発生を防ぐ技術もないが、いま地震が起きれば町内で進むニュータウン造成にも悪影響が及ぶ。なんとかほかの地域に行ってくださいというのが正直なところ」と苦しい胸の内を明かす。

 いずれの自治体も、住民が率先して震源反対運動の先頭に立っているという点では共通している。「房総の美しい自然を子供たちに残す会」の事務局長、浅野寿々子さんは、そんなリーダーのひとりだ。

 「大自然の前で、人の心は素直になれるもの。たとえわだかまりのある親子でも、トドやシャチのダイナミックなダイビングに感動した親と子なら、まっすぐにコミュニケーションができるはずです。そんな鴨川シーワールドの環境を損なうような地震の発生を、私達は断固許しません」

 神奈川県西部の平川市では、理工系大学出身の副市長が受け入れ拒否について否定的な発言をしたところ、市民からの抗議の電話が殺到。副市長が解任されるまでの3日間にわたり業務がマヒする状態となった。神奈川新聞では一連の事態を「平川市に激震、問題発言の副市長を解任」との見出し付きで伝えようとしたが、印刷開始直前になって編集主幹が「激震」の見出しが不買運動につながる恐れを懸念し、見出しを一部変更したと言われる。

 過敏とも言える反応に危機感を抱いた有識者からは、気象庁に自治体間の調整役としての役割を担うよう求める声も上がっているが、その気象庁は「特定の地域を震源から除外することは、明日の天気を完全に言い当てるより難しい」と、事実上のギブアップ宣言だ。

 東大地震研では、今回発表した予測は、防災意識を高めてもらうのが目的だと強調、落ち着いた対応を呼びかけている。地震研のある文京区役所も「これまで通りの防災計画、訓練を続けていくだけ」と冷静を装うが、水面下では東大の事務局に対し、地震研の駒場キャンパス移転を強く働きかけている模様だ。

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