寝具メーカーがたたけるふとん開発

 福井県内の寝具メーカー、青山ふとん産業が「たたけるふとん」を開発。昨年1年間で2万セットを売るヒット商品となり、地域経済の明るい話題になっている。

 昭和期までは、硬くなったふとんのやわらかさを回復すると信じられていたふとんたたき。大都市圏で林立した高層団地で、晴れた朝にベランダに干された主婦が専用の道具でリズミカルにたたく様子は、高度経済成長と一億総中流化を象徴する風景と言われた。

 しかしその後の専門家による調査で、ふとんをたたくと綿の繊維が切れて、寝心地を損なうことが判明。内部にダニが潜んでいる場合にはその死骸が外に出て、アレルギー症状を引き起こすことも明らかになり、ふとんをたたく人は少数派となった。現在では、ふとんの表面に掃除機をかけてホコリを吸い取る方法が推奨されている。日本人が生活騒音に敏感になり、ふとんをたたく音が原因で近所とのトラブルが頻発したことも、「ふとんたたきたたき」に拍車をかけた。

 青山ふとん産業を昭和25年に創業した青山徳治会長は、85歳となったいまも病気知らず。健康の秘訣は「雨の日も雪の日も欠かしたことのない、毎朝15分のふとんたたきにある」と語る。習慣が廃れつつあることを嘆いて、11年前、たたくのに適した新しいふとんの開発を決意。世界各国の綿花生産国を訪れた結果、イラン南部で敬虔なシーア派イスラム教徒が年に一度、殉教者の苦労を偲んで鞭打ちする世界で最も強靭な綿にたどりついた。この綿を入れたふとんを1000回叩いても寝心地は変わらず、むしろ叩いた人の手首のほうが痛くなるという。

 青山ふとん産業ではホームページを通じてこのふとんを販売している。青山会長がインドのゾウの足の裏で発見した、どんなに叩いても壊れない殻を持つダニも含め、価格は1セット2万5000円から。

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