「最も偉大な経済人」に意外な人物

 日本経済調査センターが国内の経済研究者500人を対象に、「日本経済の発展に最も貢献した人物」を問うアンケートを実施。1位には中国の革命家・政治家の毛沢東(1893~1976年)が選ばれた。外国人が首位になるのはこれが初めてだ。

 この調査は5年に1度実施されている。過去の調査では1位に松下幸之助、2位に本田宗一郎、3位に井深大という顔ぶれが固定していたが、今回は3人とも順位をひとつずつ下げた。

 回収されたアンケート用紙には、毛沢東への高い評価が並ぶ。

「米国をはじめとする資本主義社会への敵意を剥き出しにし、日本に有利な冷戦という構造を作ってくれた」

「もしも劉少奇が追放されなかったら、中国の経済開放政策が20年早まり、国内工場の中国シフトも20年早くなっていたのではないか」

「文化大革命が起きなかったら、中国経済はもっと大きな脅威になっていたはず。毛沢東はまさに日本の恩人だ」

 毛沢東の評価がここに来て大躍進した背景には、日本から中国への生産ラインのシフトという現象がある。ワーキングプアの増加、失業率の上昇、株価の低迷……。どの問題も原因を突き詰めれば、工場の中国移転に行き着く。裏を返せば、革命後約30年にわたり、度重なる失策で工場の移転などとてもできない状況に中国を留めていてくれた毛沢東は、日本の高度経済成長に大きく貢献したということになる。

 いち早く毛沢東の功績に注目したのが矢方睦三・法政大学教授(日本経済史)だ。当初は学会で異端児扱いされていた矢方氏だが、日本経済の歪みが大きくなればなるほど、賛同する学者が増えてきたという。「いまからでも遅くない。毛沢東の革命理論のすばらしさを中国人に再認識してもらうべきなのではないか」

 毛沢東の人気を証明するように、国内の書店では『毛主席語録』が少しずつ売れ行きを伸ばしているが、購入者が中国に毛思想を再注入して日本経済を復活させたいと願っているのか、経済的な苦境のなかで毛思想にすがっているのかは、よくわかっていない。

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