米海軍艦船への新補給方法を検討へ

 与党・政府は、安倍晋三首相の退陣で一段と困難になったテロ対策特別措置法の期限延長や同法に変わる新法の制定を断念し、現行の憲法や自衛隊法の枠組みのなかで可能な米海軍への補給方法を検討することを決めた。

 現在、インド洋には海上自衛隊の補給艦が派遣されており、米海軍の空母や駆逐艦などへの給油・給水活動に従事しているが、特措法が11月1日に期限切れを迎えれば違憲・違法となる。そこで対米関係を重視する自民党内部で急浮上しているのが、自衛隊に頼らない補給活動の構想だ。外務省の関係者は「日本の民生技術を生かせば、自衛隊でなくても国際貢献することは十分に可能」とみる。

 国内の石油業界団体である石油連盟も、中東情勢の安定が今後の原油確保に不可欠との観点から民間ベースでの補給活動を後押しする構え。洋上とはいえ軍艦への補給活動にはテロの標的になる危険がともない、民間人が従事するのは難しいとみられていたが、池田吾郎専務理事は、省力化の技術はすでに確立済みと指摘する。

 「北海の海上油田のような無人の補給ベースをインド洋に設置したうえで、米の艦船に立ち寄ってもらい、その乗組員に給油・給水させればいい。カード式の認証システムを搭載することで、テロリストや海賊に油や水を盗まれるのを防ぐこともできる」

 無人の補給ベース設置には概算で1200億円程度が必要とみられるが、人件費を節約できることから長期的にみれば自衛隊による補給よりも割安で、将来は1リッターあたり4~5円の値下げにつながる可能性もあるという。

 しかし、Sea Energy Large Feed(海上エネルギー大規模補給)と呼ばれるこの枠組みで、従来のような補給が継続できるかどうか疑問視する声もある。米国務省のスポークスマンも「まだ日本政府から正式な提案があったわけではないが、過去の補給活動で蓄積されたポイントが無駄にならないか、過去と同じようなきめ細かいサービスの質が維持されるかを注視している」と懸念を示した。

 そこで浮上しているのが、支援の中心となる給油・給水活動を無人で行い、ベースに常駐する少人数の作業員が幅広い付帯活動を行なうという折衷案。ブリッジのガラスが汚れていないか、灰皿が吸い殻でいっぱいになっていないか、お得なキャンペーン中のオイル交換は必要でないかなど、米側に対する心配りが要求される任務であり、人選は難航が予想されるが、首相官邸サイドから「対米関係を何よりも重視し、もうすぐヒマになる男」の推薦状が届いている模様だ。

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