油圧ショベル悪用のATM泥棒に抜本策

 日本建設機械工業会は油圧ショベルを使ったATM盗難事件が全国で多発していることを重くみて、2008年以降に国内で生産される油圧ショベル全機種に良心回路を取り付けることを決めた。銀行やスーパーのATMコーナーに接近したことを感知すれば、自動的にエンジンが停止するようにする。1970年代から開発が続けられてきた良心回路が実用化される初のケースとなる。

 油圧ショベルでATMを壁から強引に引きはがし、トラックで別の場所に運んでから解体、内部の現金を奪う手口の犯行は、2000年3月に埼玉県で初めて発生して以来、これまでに78件起きている(警視庁調べ)、ワイヤーを取り付ける場所を間違えてATM以外のスーパー全体を動かしてしまった2件を除き、犯人はすべて未検挙のままだ。

 抜本的な犯行防止策が講じられていないこともあり、油圧ショベルへの風当たりは強まる一方。一部の地域では保育所や幼稚園に、砂場で遊ぶ幼児に油圧ショベルを連想させる片手での砂掘り、砂かけ動作を行わないよう指導する動きが広がった。同工業会が毎年行っている「建設機械理想の上司アンケート」では今年、長年1位の座を保ってきた油圧ショベルが、クレーン、ブルドーザーのほかモーターグレーダーやアスファルトフィニッシャーにも抜かれ、5位に転落した。

 これまで良心回路を使ったATM盗難の防止策を検討してきた同工業会では、センサーやソフトウェアの進歩で充分な効果が上げられるメドはついたと判断、08年からの全面導入を決めた。しかし、識者の一部は良心回路の弱点とされた超音波による誤動作は解決されていないと指摘。良心回路装着後、住民の期待を一身に受けて土砂崩れ現場の復旧工事にあたっていた油圧ショベルが、近くのスピーカーから超音波が発せられた途端に、もがき苦しむように車体を左右に振りながら最寄りのATMに向かって暴走したとの報告もある。

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