古墳の管理権、「先進国」に移転?

 「人類が共有すべき歴史遺産がいま、瀕死の危機に直面している」――ロンドンの大英博物館、パリのルーブル美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館が連名で、日本の古墳の管理権を引き渡すよう要求する声名を発表した。

 これらの「世界三大ミュージアム」は、日本の文化庁による不適切な管理の結果、キトラ古墳と高松塚古墳の石室内でカビの大発生やしっくいの劣化などが多発したと指摘。「今後も日本人に管理を任せておけば、20年以内に日本国内のすべての古墳が文化財としての価値を失ってしまう」と警告している。

 大英博物館にはパルテノン神殿の彫刻群、スフィンクスのひげ、ルーブルにはミロのビーナス、メトロポリタンには後期アッシリアのラマッス像など、19世紀から20世紀前半にかけてエジプトや中近東、ギリシャなどから持ち込まれた貴重な文化財が多数所蔵されている。文化財がもともとあった国では返還要求運動が起きているが、三大ミュージアムはいずれも、保管技術の水準が低い国に返還すればたちまち劣化して人類共通の財産が失われてしまうとして応じていない。

 今回の声名は従来の主張に沿ったもの。「ミロのビーナスはいまも180年前に発見された当時と変わらない美しさを保っている。高松塚古墳の飛鳥美人は発掘から30年でシミだらけ。すぐに大回廊に移転しなければ『飛鳥不美人』になってしまう」と、ルーブルのキュレーターは語る。

 河合隼雄文化庁長官は「いにしえのロマンを今に伝える古墳は手放せない」と拒否の姿勢を示しているが、三大ミュージアム側では手垢のついた表現の使用が石室内の状況を悪化させるおそれがあるとして、再考を強く求めている。

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