傷心の旅? 月が離れていく

 国立天文台の観測データから、月と地球との距離が次第に広がっていることが明らかになった。地球上の海水の満ち引きや天候などに大きな影響を及ぼすのは必至。突然の変化の理由がさまざまな憶測を呼んでいる。

 約38万キロメートルだった地球と月の距離は今年1月ごろから徐々に広がりはじめ、8月15日の時点では約41万キロ。地上から肉眼で見る月の大きさに変化はほとんどないが、このペースが続けば2年後には現在の火星とほぼ同じサイズになるという。

 月が遠のいている理由としては、小型だがきわめて重いブラックホールが衝突して月がこれまでの軌道を外れた、太陽風に何らかの原因で月だけが強く反応している、などの説が唱えられているが、いずれも決め手を欠く。最近になって関心を集めているのは、「傷心説」だ。

 「これまでは9個とされていた惑星の数を見直す動きがある。国際天文学連合が検討している新しい定義によれば、12個まで増加しそうだ。地球の周囲で長く下積みを続けてきた月の心中は察するに余りある」と、国立天文台の森井亮子研究員は語る。付き人としての地味な働きを評価されなかった月が、自立の道を歩んでいるというのだ。

 注目されるのは、地球上の環境への影響。潮の満ち引きを左右する最大の要素である月が遠のけば、大規模な洪水が発生したり、潮流の変化で気候が激変するおそれもある。天文学者の一部は、スペースシャトルを改造してコメディアンのすわしんじ氏を月面に送り込み、説得にあたらせるべきだと主張しているが、逆効果との見方が大勢を占めている。

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