クレタ人問題で特別委員会

 ギリシャ政府は25日、クレタ島民による発言の信憑性を検証する特別委員会の設置を決めた。今年末までにまとめられる報告書の内容によっては、クレタ人のアイデンティティーが根底から覆される可能性もある。

「クレタ人はみんな嘘つきだ」

 紀元前500年ごろ、アテナイのエピメニデスによって提示されたこの主張については、約2500年以上にわたって論争が続いているが、エピメニデス自身がクレタ人であったことからまだ決着をみていない。同じころビタゴラスによって提示された「直角二等辺三角形の底辺の長さの二乗は、他の二辺の二乗の和に等しい」との仮説が、その後の徹底的な測定の結果、定理として定着したのとは対照的だ。

 クレタ人の誠実さについては今日でも諸説があり、島民の暮らしや経済にさまざまな影響を及ぼしている。たとえば、クレタ企業に対する貸出金利はまちまち。金融機関が「クレタ企業の財務諸表は全部嘘だ」派と「『クレタ企業の財務諸表は全部嘘だ』というのは嘘だ」派に分かれているのが原因だ。このためギリシャの金融市場では、早くから政府に特別委員会の設置を求める声が出ていた。

 問題はギリシャ国内だけにとどまらない。1960年代にはアメリカのクレタ系移民団体が「インディアンは嘘をつかない」との見解を示したことに全米先住民協会が「民族の誇りを傷つけられた」と猛反発。両者の間で武力抗争が頻発した時期もあった。

それだけに特別委員会への期待は大きいが、調査が島民の協力を得られるかどうかは未知数。全てのクレタ島民が成人を迎えると同時に行う「ほんとのこと言ったら針千本飲ます」との宣誓が足かせになるおそれも指摘されている。

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