外来生物法、不安のなか施行

 6月1日、特定外来生物被害防止法(外来生物法)が施行された。ブラックバスをはじめとする外来生物の駆除への期待が高まる反面、施行の日を不安な気持ちで迎えた人も少なくない。

「こんなザル法では外来生物の侵入は食い止められない」。焦燥感を表情に浮かべるのは超党派の国会議員でつくる「外来生物から日本を守る会」の代表、高坂功参議院議員だ。「このままでは、日本は外来生物に占領されてしまう」

 外来生物法の審議の過程で焦点になったのは、「外来生物」の認定方法と具体的な動物の種類。一方、守る会が主張していたのは将来日本に上陸するかもしれない外来生物を駆除する体制の整備だった。

 守る会の事務所があるビルの屋上で、高坂氏は青空に向けた双眼鏡を握る手に力をこめた。

「明日、いや今日にだって外来生物がやってくるかもしれない」

 一枚のリストがある。「榴弾砲、戦車、対空ミサイル……」。守る会が環境省に提出した外来生物駆除のための装備品だ。備考欄にはこんな一文も見える。「将来的にはわが国も核武装することが望ましい」

 強力な火器の導入は結局外来生物法の条文に盛り込まれなかったものの、守る会の政府首脳に対するねばり強い働きかけが実り、環境省の傘下に地球防衛軍が新設された。初代地球防衛長官に就任した小池百合子環境大臣は1日の発足式で、真新しい濃緑の軍服に身を包んで訓辞を述べた。

「ブラックバスに食い殺されたイワナやヤマベの轍を私たち人類が踏まないためにも、地球外生物はきちんと駆除していきたい」

 しかし地球に将来侵入する生命体の数、生態、大きさなどは不明のままだ。環境省職員5人からなる地球防衛軍と、捕虫網、注射器、赤いボトルの殺虫剤、緑のボトルの保存液のセットだけで人類防衛は可能なのかどうか、今後も専門家、活動家の間で熱い論議が続きそうだ。

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