書籍紹介「ACCESS徹底入門」

 会社でパソコンを与えられ、この仕事をしなさいと上司に指示されたとする。使うソフトがWORDなら簡単、EXCELにも慣れている。しかし、ACCESSを使うのは難しい。そんな会社員が多いのではないか。

 その訳は、ソフトの基本的な性格の違いにある。WORDは、かつて年賀状作成に使ったワープロ専用機をパソコンのなかに押し込めただけ。EXCELの原理はもっと簡単で、表を作るのに使う定規と鉛筆をキーボードとマウスに置き換えたに過ぎない。一方、ACCESSを含む「リレーショナル・データベース」の仕事を、手作業でこなした経験を持つ人は皆無。この種のソフトがもつ抽象的な概念をとらえるのは難しい。

 そこで、市販のACCESS入門書の多くは、図や比喩を多用しながら、リレーショナル・データベースのしくみをわかりやすく説明しようとする。テーブル、クエリー、SQL……。だが、詳しく説明すればするほど、読者は深みにはまることになる。たとえばテーブルとはレコードとフィールドにより構成され、データを格納する「表」のことだが、レコード、フィールドとは何かという疑問がすぐに生じる。そもそも、ここでいう「データ」とは何を指す言葉なのか。

 なかには、そんな疑問を棚上げして入門書の次の章に進む人もいるだろう。が、理解があいまいなままでは、いつか壁に突き当たる。ここがWORDやEXCELとの違いだ。WORDやEXCELの場合、作業の内容を直感的にとらえやすいために、(たとえ極めて非効率的な使い方であったとしても)見た目はきれいなドキュメントやシートがプリンタからはき出される。一方、数十万件の重要なデータの処理を任されることもあるACCESSでは、中途半端な知識がいい加減なデータ構造に、いい加減なデータ構造が取り返しのつかない災難の引き金になるということだけでも、その中途半端な知識に加えておいたほうがいいだろう。

 今回紹介する『ACCESS徹底入門――二足歩行からのデータベース』は、データベースはもちろんのこと、その基礎となる情報工学、電子工学、量子力学から、電気回路の基礎、数学、論理学、さらには言語の発生、火の使用、最終的には人類が後ろ足2本だけで立ち、前足を食べ物の採取や道具の使用に使うようになった時点まで遡る、野心的な一冊だ。

 この本さえあれば、データとは何なのか、電子的にどのように情報が保存されるのか、半導体はどのようなしくみに基づいているのか、量子力学とはどんな理論なのか、その数式にはどんな意味があるのか、足し算、引き算とは突き詰めて言えばなんなのか、といった具合に、疑問の源流を遡ることができる。現代文明の多くの分野では源流をギリシャ文明までたどることが可能だが、この本の守備範囲は二足歩行開始時まで。ゆとりある設定には安心できる。

 残念ながら、いまでも四足歩行を続けている人はキーボードやマウスを自由に両手で操作できないことから、ACCESSでビジネスに役立つデータベースを構築するのは難しい。この本を読んで二足歩行がパソコンを操作するうえでどれだけ便利かを理解したうえで、後の二本足だけで移動することをお勧めする。

□書籍紹介
『ACCESS徹底入門――二足歩行からのデータベース』
ISBN4-8443-1279-3
インプレス書籍編集部編
出版社:インプレス
全2781巻 うち索引72巻
価格:\780,000,000(税別)

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