ジャジャジャジャーン

ベートーベン名曲散歩 交響曲第5番ハ短調 作品67 「運命」

 ベートーベンの数多くの傑作のなかでもひときわまばゆく光り輝く作品。第1楽章はあらゆるクラシック音楽のなかで最も広く親しまれており、冒頭から結末にかけて男性的かつ力強い「ジャジャジャジャーン」の主題が繰り返される。なお、この「ジャジャジャジャーン」については、のちに弟子のシントラーが語った「運命はかくの如く扉をたたく」という解釈が有名だが、ベートーベン自身は1808年の作品発表時、演奏会のパンフレットのなかで「ジャジャジャジャーンとは、運命に呼ばれて狭く暗い空間のなかから広い場所に飛び出す音」と記している。この名曲が、当時の宮廷で強大な力を持っていたにもかかわらず、常に鼻風邪をひいた人の僕として生きなければならなかった数奇な運命の持ち主、ハクション大魔王に捧げられたという事実は、あまり知られていない。

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