バケツの安全神話崩壊

6日、全国スーパーマーケット協会は、安全性が確認されるまで、バケツの販売を一時中止することを決めた。

「バケツが犯人と決めつけたわけではない。しかし、消費者の不安はバケツの売れ行きの落ち込みに如実に現れている」(イトーヨーカ堂、中野俊二専務)

同様の動きが、百貨店や専門店にも広がっている。トイザラスなどの玩具販売店でも、砂遊び用ポリバケツが店頭から姿を消した。

日本では3400万個、東京ドーム7.8杯分のバケツが使用されているが、バケツが引き起こす事故は平均で年80件程度しかない。しかも、そのほとんどが主婦の手のひび割れだ。「日本のバケツ安全性は新幹線に匹敵する」と指摘する危機管理の専門家もいる。

ところが、バケツの安全神話はたった1日で根底から崩れてしまった。バケツ業界の団体、日本バケツ産業振興会の山本信夫理事長は、「バケツ犯人説には納得できないが、取扱説明書の注意書きが今回のような状況を想定していなかったなど、我々に落ち度があったことは事実。いまは嵐が過ぎるのを待つしかない」と、半ばあきらめ顔だ。

バケツをめぐる不安は、市民の日常生活にさまざまな影響を与えている。茨城県教育委員会では、県内の小中学校に対し、生徒にバケツを持って廊下に立つよう命じることをしばらく見合わせるよう通達した。授業中に騒いで廊下に立たされるような生徒なら、バケツを振り回して教室に乱入し、被害を広げるから逆効果と、事情に詳しい人物は指摘する。

「心配でバケツが使えない。生活は不便になるが仕方がない」と語るのは、千葉市内に住む主婦、大原君恵さん。大原家では事故発生以来、掃除や洗濯はもちろん、朝の洗顔、三度の食事、夜の入浴、休日のキャッチボールのできない日々が続いている。

一部には、問題はバケツの使われ方にあり、バケツそのものを犯人扱いするのはおかしいとの声もある。しかしこの考えは、さらに恐ろしい結論に結びつく。あらゆる容器が、使われ方次第によっては、恐ろしい事態を引き起こすかもしれない。

「危ないのはバケツだけではない。コーヒーカップ、電気釜、たらい、土鍋、ペットボトル、浴槽、プール……。どの容器も重大な災害をもたらすおそれがある。今後は使用前に、一つ一つの容器の安全性を吟味すべきではないか」(全国ざる連合会理事長、香川良次氏)

もはやこれは、日本国内だけの問題ではない。被害の規模は容器の寸法の3乗に比例する。大型容器で災害が起これば、近隣諸国にも影響が及ぶかもしれない。今後国際社会では、日本に琵琶湖の管理強化を求める声が強まりそうだ。

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