人類滅亡までの足跡

 人類滅亡の2週間前、建設省と日本土木工事業者協会は緊急会議を開き、突貫工事で今年度の公共工事予算を可能な限り消化することを申し合わせた。

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 人類滅亡の9日前、速見優日銀総裁の「景気短観を見るかぎり日本の景気が好転する確証はまったくない」との発言で急落した東証株価は、翌日に人類滅亡が確定して反騰した。

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 人類滅亡前の1週間、東京都庁に電話で寄せられた問い合わせのなかで最も多かったのは「人類最後の燃えないごみの回収日はいつか」だった。

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 人類滅亡の5日前、スーパーマーケット大手のイトー・ヨーカ堂では「最後の売り尽くしセール」を行うと発表、あわせて、これまでの「最後の売り尽くしセール」が不実広告だったことを認めた。

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 人類滅亡の4日前、きんさんぎんさんが「実はあんたには飽き飽きしていた」との衝撃的な声明を発表したが、街の声は「やっぱり」がほとんどだった。

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 人類滅亡までの72時間、大井武蔵野館では急きょ営業を再開し、かすかな望みを託してチャールトン・ヘストンの主演映画を延々と上映した。

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 人類滅亡の36時間前、科学技術庁は、数百年後に高度に発達した生命体が内部に侵入して不測の事故が発生するのを防ぐため、原子力発電所の看板を一律、「国税庁」に変更した。

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 人類滅亡の2時間前、フジテレビは多数の視聴者からのリクエストに応え、「ンガンン」で放送を締めくくった。

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 人類滅亡の1時間前、NHK教育では多数の視聴者からのリクエストに応え、ゴンタくんとノッポさんの「できるかな」で放送を締めくくった。なお、「考える人」のゲスト出演は、本人の強い希望によるもの。

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 人類滅亡の5分前まで、日本各地の旅館やビジネスホテルでは有料チャンネルを利用する人の数が通常とまったく変わらなかったが、5分を切ってからは誰も「有料ボタン」を押さなかった。

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 人類滅亡の3分前、吉野家本部は全国の店舗に対し「うまさと安さを多少犠牲にしてでも、早さを最大限追求するように」との通達を出した。

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 人類滅亡の30秒前から、プロ棋士の大部分は、女流棋士が読み上げる「30秒…20秒…10秒…9、8、7…」の声を思い出した。

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 人類滅亡の瞬間、アメリカでは手をしっかりつないで最期を迎えた夫婦、親子、友人、恋人などが多かったが、人類最後の腕相撲選手権決勝戦もまた、未曾有の盛り上がりを見せた。

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 東京ディズニー・ランドも、カウントダウンや花火で大いに盛り上がった。

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