氷河で大昔の人体を発見

 8月24日、カナダ北部の氷河で、数千年前のものとみられる先住民の人体が見つかった。当時の生活をさぐるうえで極めて重要な手がかりとして、専門家らの注目を集めている。

 氷の中から掘り出された大昔の人体としては、1991年にイタリア北部で発見された通称「アイスマン」が有名だが、今回の人体の保存状態は「アイスマン」よりもさらに良好。現在でも背中のあたりにまだ温もりが残り、筋肉は柔軟性を保っている。両肩の筋肉は比較的固かったが、これは当時の人々が重労働を強いられていたためではないかとみられている。

 口にはまだ、この先住民が死の直前に食したとみられるニンニクの匂いと、ニラの繊維が残っているという。研究にあたっているブリティッシュ・コロンビア大学のカーク・エドモンド教授(人類学)は、「当時の食生活の内容と、歯磨き習慣の欠如がよくわかる」と指摘している。

 また、この先住民が首に下げていた牛皮製の袋のなかからは、近くの川を丸木船で渡るようすを描いた木の札が見つかった。この川では1840年代から小型のフェリーが運航されているが、それ以前は丸木船が地元住民の足として活用されていたらしい。定期券の図柄は現在でも、川を渡る丸木船だという。

 周囲の状況から、この先住民は道に迷って凍死し、そのまま氷河に閉じ込められてしまったのではないかとみられている。眉間にしわを寄せた顔は、数千年前の死の苦しみを生々しく表現しているが、研究者が足の裏をくすぐると微かに笑うこともあるという。

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