忍び寄る異常健康の恐怖

 「おかしい。こんなことはありえないはずなのに」――「環境ホルモン」問題の専門家、横浜市立大の井口泰泉教授が、荒川で収穫されたばかりのフナ100匹を解剖してつぶやいた。多摩川のコイでは、オスの精巣が異常に小さいなどの問題が発見されたが、荒川のフナには何ら問題がないのだ。精巣が正常なだけではなく、脳、消化管、浮き袋、筋肉、ヒレなど、体のどの部分にも病状が発見されなかった。100匹を解剖して1匹も不健康なフナがいない。これは明らかに、「異常健康」である。

 前回、大規模な健康調査が行われたのは、まだ荒川がきれいだった昭和14年。このときには100匹のフナのうち6匹が下痢や腹痛、5匹がしつこくノドにからみつく痰、3匹が疲れ目や視力の低下に悩んでいるという調査結果が出ている。今回の調査ではいずれも発見できなかった。井口教授は、「環境ビヨフェルミン」「環境龍角散」「環境サンテドウー」によって、それぞれの症状がすっかり治ってしまったのではないかとの見方を強めている。

 このほか、今回捕獲されたフナには、1匹あたりウナギ3匹に相当するスタミナがみなぎっていた。井口教授は「環境赤まむしドリンク」が河川に流れ込んでいる可能性が強いと指摘している。

 これら、「環境薬品」が増加したのは、使用期限が切れた薬品が捨てられ、その成分がゴミ捨て場から川に流れたとの見方が有力だが、詳しいことはまだわかっていない。今後、多くの「環境薬品」の存在が確認されれば、水を飲んだり、空気を吸ったりするさいに、「環境薬剤師」に相談する必要も出てきそうだ。

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