VW車、日本では「個人の感想」で販売継続

 ディーゼルエンジンの排ガステストに不正な手段を用いて合格していた独の大手自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)は、問題のモデルの販売を欧米市場では停止するものの、日本では「健康食品」として通販やドラッグストアでの販売を継続すると発表した。

 VWではエンジン制御ソフトに細工を施すことで、排ガステストの実施時には通常走行時と違うモードに入り、窒素酸化物(NOx)の排出量を一時的に減らしていた。通常走行時にはカタログ上のスペックの最大40倍のNOxを排出しており、「クリーンディーゼル」との触れ込みには全くの嘘だった。こうした車両を環境法令の厳しいEU域内で販売するのは不可能であり、消費者の権利意識が強い米国市場でも集団訴訟の標的にされるのは確実とみられる。業界アナリストが「世界で唯一、今後も販売可能なマーケット」として注目するのが、日本国内の健康食品市場だ。

 この市場では「個人の感想です」の7文字で完全かつ速やかな免責が行われ、科学的なデータを提示しなくても、視力低下に悩む人にブルーベリー、膝の痛みで満足に歩けない人に経口摂取用のコラーゲン、記憶力の低下を感じる人に錠剤タイプのDHAを販売することが認められている。「ディーゼルエンジンのNOxで環境が破壊されると思うと不安で夜眠れなかったのに、VWのディーゼル車に乗ったとたん、朝までグッスリ」という「個人の感想」を宣伝しても、理論上、摘発はありえない。お墨付きを与える大学教授がすぐ見つかるのも、日本の健康食品市場ならではの特色だ。

 現在、VWが日本の健康食品市場への投入を検討しているのは、ゴルフ、ビートル、ジェッタのディーゼル版。ターボチャージャーを搭載した高出力モデルは「強い男を徹底サポートする厳選濃縮マカ配合リミテッドエディション」などの名称で販売される予定で、60 、70歳になり衰えを感じ始めたものの、現実を受け入れられない男性消費者の間で人気を集めそうだ。

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