携帯3社、iPhone行列の延長に本腰

 ソフトバンクは東京都台東区の人気そば店「元祖来寿庵」と共同で、2時間以上並んでから入店してそばを食した人を対象に、通常よりも3000円割り引いてiPhone6sの端末を販売するキャンペーンを開始した。モデルチェンジのたびに短くなる行列が、再び長くなるかどうかに業界の注目が集まる。

 25日に国内の携帯3社が始めたiPhoneの新機種6sは、前モデルより小規模な改良にとどまった、以前はソフトバンクによる単独販売だったものがau、ドコモを加えた3社競合となり販路が広がったことなどの影響で、iPhone4、iPhone5発売時のような話題にはならなかった。

 ブームの沈静化を端的に示したのが、行列の短さ。4の発売時には徹夜組も現れるほどだったが、25日の携帯ショップ各店は通常よりも若干客の数が多い程度。すでに予約と必要な手続きを済ませ、発売当日には品物を受け取りすぐ帰る客が多かったことも、行列の短縮につながったとみられる。

 しかし、アップル日本法人の幹部はこの傾向に危機感を抱く。「行列は重要な看板。とくに日本市場では行列の長さが商品の魅力の一部ととらえられている。早めに手を打たなければ、次期モデルの売れ行きにも影響を与えるかもしれない」と語り、携帯3社に対策を講じるよう促したことを認める。

 ソフトバンクが提携した元祖来寿庵は、そば通をうならせる明治3年創業の名店で、店の前には毎日数十メートルの行列ができる。iPhone購入者の行列とは対照的に、3年前そば専門誌で「日本の名店十傑」に選ばれた元祖来寿庵の行列は年々着実に長くなっている。ソフトバンクの孫正義会長がこの店の発行済み株式の70%を取得したのは、行列を拡販活動に利用しない手はないと考えたためだ。

 ドコモはまだ表立った動きは見せていないが、すでに首都圏、関西圏のタクシー会社と提携。人身事故や悪天候で電車の運行が止まれば、駅周辺のタクシー乗り場にできる長い行列を狙ってiPhoneのワゴンセールを展開する計画だ。関係者は「大規模な運行障害なら3〜4時間待ちにはなるはず」との期待感を示す。

 auは戦後の食糧事情を参考に、品不足感を強調することで購買意欲を刺激する考え。成田空港までの臨時列車を運行し、柳行李を背負って到着したばかりのiPhoneを買い出しに行くツアーに参加するよう、消費者に呼びかけることにしている。

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