精密施工で組体操の安全確保

 滋賀県立野洲工業高校に今年も体育祭の季節がやってきた。開催日は毎年6月の第2日曜日。グラウンドでは通常のカリキュラムを変更して、組体操の練習が行われている。芝生の上に敷いたゴザに座り、お茶を飲みながら練習を眺めているのは、付近の住民たちだ。

 「危険すぎる」「取り返しのつかない事故になったらどうするんだ」「教職員は責任を負えるのか」──いま、全国の学校現場では組体操に批判的な声が高まっているが、野洲工の教職員や生徒とは無縁だ。野洲工ピラミッドへの信頼感は、本場・エジプトギザのピラミッド以上にまったく揺るがない。

 新年度の到来とともに始まる体育祭の準備。例年、3年生が中心となり図面の作成が行われる。ピラミッドの「部品」となる生徒一人ひとりの身長や体重、肩幅などを精密に測定。パズルをはめるように7段ピラミッドの青写真を描く。

 連休明けからは実技練習が行われる。太い生徒は柱。中肉の生徒は梁。細身の生徒は間柱という風に、体型に合わせて役割を決める。「在来工法の部材の機能を身をもって体験できる体育祭は、野洲工にとり欠かせない行事です」と、今村和利校長は意義を強調する。

 安全を裏付けるのが、施工精度の高さだ。「3段目右から2人目。肩が0.8ミリ高いぞ」。三脚に載った測量機器からレーザー光線を照射しながら、測量科3年の小湊翔君が叫ぶ。水準器を使って極限まで平らにした生徒たちの背中に試しにパチンコ玉を載せてみたが、微動だにしなかった。

 教職員や生徒の大半は、ピラミッドの安定に最も貢献しているのは土木科の生徒たちだとの見方を示す。建機で掘った深さ3メートルの穴に土木科の生徒が次々と降りて行ったのは2日前のこと。体育祭当日、地上に出ている7段がびくともしないのは、日の当たらない場所で土木科の生徒が四つん這いになり、強固な3段構造の基礎を形作っているからこそだ。

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