集中治療室内はドローン飛行禁止

 日本集中治療医学会は、集中治療室内でのドローン使用は禁止すべきとの公式見解をまとめた。全国の医療機関で患者がドローンを使用し、体外離脱の疑似体験を目的に、危機的状況にある自身を第三者の視点で見つめることが増えているため。政府機関、文化遺産に続いて、医療機関でもドローン締め出しの動きが加速しそうだ。

 今年2月中旬。新潟市内の大型民間病院。大動脈解離で緊急手術を受けた鷲頭昭利さん(享年72歳)は、執刀した主治医の許可を得ないまま、ドローンを集中治療室に持ち込んだ。搭載されたカメラが撮影した映像には、人工呼吸器につながれてベッドに横たわる鷲頭さんのほか、周囲で忙しく医療機器を操作する看護師、鷲頭さんの手を握り、大声で呼びかける家族たちを俯瞰している。小型モニターでこの映像を見つめる鷲頭さんの顔に微かに浮かんだ感動も、カメラはとらえていた。

 死期が迫った人の霊魂が身体から離れ、第三者の視点から自身の体や、周囲の状況を見つめる体外離脱現象は古来、多くの文化圏で報告されているものの、実際にそのような体験をする人は珍しい。ドローンの改良と低価格化は、手軽な体外離脱を可能にした。医療ジャーナリストの島本和江氏は「技術的には、38度ほどの発熱でも体外離脱を体感することが可能な時代が到来した」と指摘する。

 ドローン規制の動きの一方で、メーカー各社は熾烈な開発競争を繰り広げている。中国のあるメーカーからは、撮影した映像にボカシやエコー、天上から差し込む光の筋、宗教音楽のコーラス、子ども時代から現在に至るまでの思い出の写真のスライドショー、そしてファイナルカウントダウンを付加する機能を搭載した新機種が発表された。実際の臨死体験の表現力を越えるのは時間の問題との見方もある。

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