NHK技研「8K対応砂の嵐」公開

5月28日からNHK放送技術研究所が開催する発表会「技研公開2015」に先立ち、4年をかけて開発された「8K対応砂の嵐」が初めてプレス公開された。普及の足かせになると見られていた弱点の解決は、8Kテレビの売れ行きにも大きく影響しそうだ。

アナログ時代にはテレビに標準装備されていた砂の嵐は、2011年7月のアナログ停波とともに全面凍結された。デジタルテレビの高精細画面では砂の粒が小さすぎてテレビ内部の電子部品の間にはさまってしまい、回路をショートさせるためだ。その後の高精細化に比例するように砂の粒は一段と細かくなり、4KではPM2.5に匹敵。テレビの外に漏れ出せば健康被害を引き起こす可能性もあり、「砂の嵐の復活は永遠にない」との見方が支配的となった。

「デジタルテレビでも砂の嵐を楽しみたい」といった声に後押しされ、NHK技研は2011年、人工的に砂を描画する専用チップの開発に着手。当初は「芋嵐」「小石嵐」程度しか映し出すことができなかったが、処理能力を大幅に高めることで、理想的な直径をもつ砂粒を再現することが可能になったという。開発の最終段階には昭和30年代から砂の嵐一筋に深夜放送を担った元エンジニアの山崎良助さん(84)が協力。アナログ時代の心地よいザラザラ感を再現することに成功した。

NHK技研では半導体メーカーと協力し、来年春をめどにチップを製品化する予定。早ければ来年後半にも家電各社からデジタル砂の嵐対応の8Kテレビが登場する。量販店各社からは「キラーコンテンツの出現が、8Kテレビ需要に火をつけるのではないか」といった期待の声が早くも出ている。

ただし、プレス公開された8K対応砂の嵐の背景では無機質な音楽が流れていた。NHK技研によれば、「デジタルノイズの音質を改良するにはまだかなり時間がかかりそう」。アナログオーディオファンを満足させる水準に達するめどは立っていないという。

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