ロシアかウクライナか、引き裂かれるクリミア

ロシアのプーチン大統領は18日、クリミア半島北西部のウクライナへの統合に反対するとの声明を発表した。現地ではロシア系住民とウクライナ系住民の対立が続いており、事態は混迷の度を深めている。

ウクライナの南東部にあるクリミア半島ではロシア系住民が圧倒的多数を占めている。首都キエフで親ロ派のヤヌコビッチ政権が崩壊したことを受け、クリミア半島で行われた住民投票では、ウクライナからの分離とロシアへの統合を主張する勢力が圧勝した。

しかし、クリミアの住民も一枚岩ではない。北西部にはなおもウクライナの一部であることを願う住民が集中しており、住民投票はロシアの軍事的な脅威の下で行われた不当なものと反発。ロシアによるクリミア統合が強行されれば、クリミア北西部だけで再度住民投票を行い、クリミアからの分離とウクライナへの統合を求めるとの強硬姿勢を示す。

とはいえ、クリミア北西部の状況も極めて複雑。北西部の南側約3分の1を占めるソボースチ地区にはロシア系の住民が集中しているものの、ソボースチの北側5分の1はウクライナ系が優勢だ。そのまた南側5分の2の自治体はどちらかといえばロシア寄り。町内会レベルで民族的な傾向を分析すれば、勢力はほぼ拮抗しているとみられる。

「どっちにも親戚がいるし、友人もいる。ウクライナともロシアとも仲良くしたいというのが正直なところだ」と困惑した表情を見せるのはトラック運転手のウラジミール・ホロシェンコさん。今後しばらくは週4日をロシア系の実父、実母と、週2日をウクライナ系の妻の両親と過ごす方針だが、問題は残り1日をどちらで過ごすか。現地ではいま双方が武力行使を自制しており、辛うじて平和が守られているものの、ホロシェンコさんの決断次第ではウクライナとロシアを巻き込んだ全面戦争が発生する恐れもある。

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