性経験の影響、25年の「空白」で消滅

「25年以上性行為がない既婚成人男性の思考と体質は、性行為未経験者のそれと変わらない」との研究結果を、杏林大学の加藤雅之教授らのチームがまとめた。近く英の学会誌「ジャーナル・オブ・フィジオロジー」で発表する。

加藤教授らは、25年以上前に性行為を経験したが、その後は「性的没交渉状態」にある50代の既婚男性150人と、未経験の男性150人を対象に聴きとり調査を行い、▽著しく非現実的な性妄想に取りつかれている▽「理想の相手が現れる日を待っている」という願望で性交渉がない事実を正当化している▽不正確なものも含め、知識だけは豊富にもっている、などの共通点が浮き彫りになった。ホルモンの分泌状況や体臭にもほとんど違いはなかった。

日本社会では初めての性行為を一種の通過儀礼ととらえ、未経験者を蔑む風潮がある。研究チームは、頻繁に性行為をしている50代の男性150人と、性的没交渉状態の50代男性150人に、性的な未経験者への見方を尋ねた。前者が概ね無関心だったのに対し、後者からは文字にするのがはばかられるような罵詈雑言しか出てこなかったという。「性的な未経験者に厳しい日本社会の傾向が、かなりの部分、近親憎悪に端を発していることが予想される」(加藤教授)

性行為未経験者の男性でつくるNPO法人、「さくらんぼの会」の佐藤文昭専務理事は「我々に激しい憎悪を向ける集団が、実はほとんど同じ境遇にあることを実証した研究であり、高く評価したい。ただ、25年以上前の『経験』が妄想である可能性も否定できない。だとすれば、彼らは我々よりワンステージ高い境地にいる存在」と語り、尊敬の表情さえ浮かべる。なお、佐藤氏は共闘の可能性を「それはない」と即座に否定した。

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