iPhone 日本市場依存鮮明に

 9月7日、米サンフランシスコで行われたアップルの新製品発表会。事前に予測されていた通りに新型iPhoneの発表が始まり、会場を埋め尽くしたプレスや販路の関係者は湧いたが、ステージ上でティム・クックCEOが新商品の名称を口にした瞬間、戸惑いの空気が会場を包んだ。

 「アイ・フォン・ナナ」

 背後のスクリーンに「Nana = Seven」との字幕が表示され、出席者は意味を理解したが、それとともに新しい疑問が彼らの心中に生じたのも事実だ。

 「そこまで日本市場を重視する必要があるのか」

 この疑問に、アップルの幹部や大部分のIT業界アナリストは「ある」と即答する。この夏に累計販売台数が10億台を突破したiPhoneは人類史上最も多く売れた製品だが、今年の販売台数は前年を数パーセント下回るのが確実。新興国を中心に中国メーカーの開発した廉価な商品がアップルからシェアを奪っているのだ。

 例外的な市場が日本だ。なおも多くのスマートフォンユーザーがiPhoneブランドに忠誠を誓い、歴代の新モデルが発表されるたびに主要なキャリアが販売キャンペーンを展開すると、ショップは新規客、買い替え客で賑わう。

 「7をあえて日本語読みにすることで、アップルとしても日本重視の姿勢を打ち出し、現在のユーザーを繋ぎとめようとしているのだろう。アップル社内の販促会議で使用される資料には、当たり前のように“Otokuisama”という言葉が頻出するとの証言もある」(ワールモール・リサーチの上級アナリスト、グルザーリー・ラール氏)

 異例とも言える日本びいきは読み方だけではない。日本での電車利用に欠かせないFelica対応、任天堂と提携しての「マリオ」ゲームアプリの導入…。発表会には間に合わなかったが、年内のアップデートで俳句歳時記も新たに搭載する見通しだ。

 日本国内のメディアの多くは、iPhoneの新機種について大々的に報じており、主要キャリア3社も前モデルと同様の売れ行きに期待する。一方、欧米市場や新興国市場での見通しは不透明で、今後日本市場への依存度がさらに高まる可能性もある。

 気の早いITウォッチャーの間では、「来年の今頃には“Nana”に続く“捌”が発表される」との見方が強まっている。

カテゴリー: IT | iPhone 日本市場依存鮮明に はコメントを受け付けていません。

三菱自動車、「ベストエフォート方式」で燃費算出

 三菱自動車が生産した軽自動車について、いくつもの理想の条件が奇跡的にそろった場合の「ベストエフォート方式」をもとに燃費を算出した上でカタログに掲載し、国土交通省や、OEM供給先の日産自動車にも報告していたことが明らかになった。ずさんな手法に対して今後反発が広がるのは必至だ。

 産業界の専門家によれば、ベストエフォートはネット・インフラ分野だけで用いられている異常な方法。燃費もメーカーによる算出値や研究施設内での測定値と、日常運転での実測値の間にはズレがあるのが一般的だが、「ネット業界の公称値と実測値の間ほどの格差があれば、すぐに訴えられるはず」と、大手メーカーの法務担当者は語る。

 三菱自動車の役員によれば、燃費算出を統括している部長は不正の直前、「サクサクダウンロードでストレス無し」の宣伝に魅力を感じて格安光ファイバーを自宅に引いた。しかし同時期に多数の申し込みが殺到したためか、実際の使用感はそれまで使用していたADSL回線と大差なかった。電話でクレームを入れたところ、カスタマーサービスの説明は「ベストエフォート方式ですから」の一点張り。「同じ手法をうちの会社でも使えないか」とのひらめきが、今回の一大スキャンダルのきっかけになった。

 今後、三菱自動車が問題の車種の買い取りをユーザーや販売店から求められるのは確実な情勢。同社では「可能な限りお客様のご要望に応えたい」としているが、総額数千億円とも言われる買い戻しのための資金は調達のメドが立っておらず、業界関係者の間では「実勢1台10万円程度のベストエフォート価格による買い戻しになるのでは」との見方が強まっている。

カテゴリー: 経済 | 三菱自動車、「ベストエフォート方式」で燃費算出 はコメントを受け付けていません。

桶屋大賞に8月静岡県内の風

 全国の桶屋職人が投票で選ぶ2016年の「桶屋大賞」に、昨年8月21日に静岡県内で吹いた南南東の風を選んだ。南南東の風の受賞は2002年に続き14年ぶり3回目。静岡県内の風の受賞はこれが初めてだ。

 この風は静岡市の南約200キロの太平洋上に生じた高気圧の影響で県内の広い地域で吹いたもの。3日間にわたって雨を降らせた雲を長野県内に押しやり、3〜4メートルの程よい風速で、県内の家庭にたまっていた汚れ物の洗濯を促したことが高く評価された。

 桶屋大賞は「桶が売れない時代、桶を最も知る立場にいる桶職人の危機感から発案された賞」(実行委)で、過去の受賞者リストには視覚障害者、三味線、猫、ねずみなどが名を連ねる。

 ただ、風向きや風速と桶の売上高の間の相関関係は日本気象協会と日本公認会計士協会の共同調査からすでに完全否定されており、今回の賞の選考結果の妥当性を疑問視する声も出ている。

カテゴリー: 文化 | 桶屋大賞に8月静岡県内の風 はコメントを受け付けていません。

NHK、ドローンで受信契約促進

 日本放送協会(NHK)は、件数が伸び悩む受信契約の促進のため積極的にドローンを活用することを検討している。テレビを所有しながら契約を拒否している世帯は、地上のNHK営業担当者と空のドローンに対する両面作戦を強いられそうだ。

 4月上旬、千葉県内の団地。白衣に身を包んだNHK放送技術研究所のエンジニアがコントローラーを操作すると、静かにドローンが空に浮き、高層マンションの最上階の高さまで一気に上昇した。ドローンに搭載されたカメラは、この棟の28世帯のうち19世帯のテレビに、新年度に始まったばかりの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」が映っている証拠をつかんだ。

「NHKなんて観たことがない。そんな言い訳はもう通用しません」と語るのは、NHKが昨年秋に設置した契約促進プロジェクトチームの西本充リーダーだ。「ベランダ付近で空中停止したドローンから証拠画像と契約書、ボールペンを突き出せば、その場で契約するはずだ」

 ただ、若者を中心にネットへのシフトが進むいま、新たな契約世帯の獲得は今後さらに難しくなるとの見方が強い。このためNHK技研が開発を進めるのが、主要メーカー各社のテレビに対応した万能型のリモコンだ。

 「ドローンに搭載して、ベランダから付近から室内に向けリモコンの電波を発信。スイッチをオンにし、ネット配信やDVDではなくテレビに入力を変更することで、視聴者のテレビ回帰を促したい」(西本リーダー)

 こうした手法には視聴者の激しい反発も予測されることから、NHKでは当面、ボリュームを絞って日曜早朝に5分間だけEテレの「こころの時代」を映し、視聴者の反応を探りながら徐々に本格的な運用に移る方針だ。

カテゴリー: 科学 | NHK、ドローンで受信契約促進 はコメントを受け付けていません。

ノルウェー外務省「不正アクセスとは無関係」

 ノルウェー外務省のスポークスマンは24日の定例記者会見で「世界のパソコンへの不正なアクセスを行った事実はない」と語った。過去数ヵ月間、世界各国で使用されているWindowsパソコンのタスクバーにノルウェー国旗によく似たマークが表示され、執拗にバージョンアップを要求するいやがらせが相次いでいることから、ユーザーからはノルウェーとの関連を疑う声が出ていた。

 このスポークスマンはノルウェー政府の関与を否定すると同時に、ユーザーがバージョンアップを拒否しても、パソコンを立ち上げるたびに「バージョンアップしますか?」との質問を繰り返す細工をシステムに仕込んだとみられる反社会的なハッカー集団を、強い口調で批判した。

 「最新機種ならともかく、数年前の貧弱なマシンに導入してどれだけの効果があるのか疑問なのに、しつこくバージョンアップを求めるのは極めて悪質だ」

 こうしたトラブルは、Windowsを搭載し、インターネットに接続しているパソコンに限って昨年の夏から世界各国で報告されている。大半のユーザーは無視しているが、ノルウェーに憧れている人や、スウェーデン、デンマーク、フィンランドとの区別がつかない人が不用意に押してしまうことがある。

 なお、中国の各地では「田さん」が家具や柱に体をぶつけた拍子に、本人も気が付かないうちにバージョンアップ。フロッピーディスクに不思議そうな視線を向けて「これはなんだ? まったく認識できない」とつぶやく事例が数件起きている。

カテゴリー: IT | ノルウェー外務省「不正アクセスとは無関係」 はコメントを受け付けていません。

北海道新幹線開業で「寝過ごし鉄」も新時代へ

 「26日が待ち遠しいですね。八戸、新青森まで到達した経験はあるので、今度は一番列車での函館到達を目指したい」

 北海道新幹線が開通する3月26日の朝、乾公人さん(42)ははやぶさ1号に始発駅の東京駅で乗り込む。大宮市に住む大学時代の同級生には、この日の朝に訪れると電話で伝えてあり、手土産の日本酒もすでに用意した。しかし購入したきっぷは終点の新函館北斗までだ。

 「出発前の48時間は寝ません。上野を出るころには眠りに落ちて大宮を過ぎ、そのまま青函トンネルに入るまで起きないはずです」

 乾さんによれば、一番列車では十数名が初の「寝過ごし北海道上陸」を目指すという。

 乗車するという行為を楽しむ「乗り鉄」、鉄道の撮影に熱中する「撮り鉄」、鉄道にまつわる様々なモノを集める「収集鉄」……。鉄道ファンの生態はさまざまだが、暗然たる勢力を維持していると言われるのが「寝過ごし鉄」だ。彼らは一番列車、最終列車などエポックメイキングなさまざまな列車に乗り込み、眠りに落ち、目的地を過ぎ、目が覚めたときに愕然とする。名目上の目的地は出発地から比較的近い場所に設定されるが、他の利用客に迷惑をかけないよう、終着駅までのきっぷを確保するなど、マナーも重視するのも特徴だ。

 寝過ごし鉄というジャンルは、通勤電車の長距離化に伴い発達した。昭和30年代以降、大都市圏の住宅エリアは郊外に向けて急速に広がり、夜間には激務に疲れたサラリーマンがマイホームへと向かう電車の中で居眠りして寝過ごしてしまうリスクも高まった。「長老」として寝過ごし鉄たちの尊敬を集める根尾恭介さん(84)は、この道に入った経緯を振り返る。

「昭和28年に大井町の会社に就職しました。仕事を終えて京浜東北線で自宅のある蒲田に帰るはずが、目を覚ませば川崎だったり、横浜や大船まで来ていたり。最初は舌打ちしたものですが、夢からうつつに戻ったときの『ここどこだ』というスリルが病みつきになってしまったんです」

 寝過ごしの射程を大幅に伸ばしたのが、西へ、北へと伸びた新幹線網だ。関東から関西圏、中国地方、そして九州への寝過ごしが可能になり、東北、北陸方面も圏内に入った。寝過ごしの魅力に取りつかれる人の数も比例して増えていった。そして今、全国の寝過ごし鉄たちは「未開の地」北海道に熱い視線を送る。

 一方、寝過ごし鉄が最も忌み嫌う行為が、狸寝入り。名目上の目的地に到着した時点で意識が落ちていなければ降車するという暗黙のルールが存在する。途中で目が覚めても、やはり寝たふりは許されない。実際、乾さんも過去の挑戦では睡眠のタイミング調整に失敗して、予定よりも大幅に早く列車を降りたことがある。北海道新幹線の一番列車は時間帯が明るい朝だけに、寝過ごしのハードルは一段と高い。

 北海道新幹線の一番列車で終着駅まで寝過ごすことができれば、歴史に名を刻む快挙となる。それだけに寝過ごし鉄たちの興奮は日ごとに高まっており、中には26日のことを考えるともう眠れないと語る人も。乾さんは、乗車を予定している寝過ごし鉄のうち3~4人は自宅で毛布をかぶったまま一番列車の出発時刻を寝過ごしてしてしまうと予想している。

カテゴリー: 社会 | 北海道新幹線開業で「寝過ごし鉄」も新時代へ はコメントを受け付けていません。

巨人選手、日テレ株式でも賭博行為か?

 選手の野球賭博関与について調査を行っていたプロ野球・巨人は、これまでに明らかになった4人の選手に加え、複数の選手が野球賭博以外のギャンブルに関わっていたと明らかにした。止まらない疑惑の拡大が球界に強い衝撃を与えている。

 球団がまとめた中間報告書によれば、野球賭博に関わっていたのは4人のままだが、他に日本テレビホールディングス(HD)株式会社、日本テレビ放送網株式会社の株価の上昇や下落を賭けの対象とする株式賭博に複数の投手が関わっていた模様。

 株式賭博に詳しい人物によれば、株価動向によっては多額の利益を上げることもできれば、多額の損失を被ることもあり、リスクは不正な勢力が営む野球賭博とそれほど変わらないという。

 調査に関わった球団職員によれば、ローテーションの一員である有力な投手は日本テレビHDの株式を所有。球団の成績が上がれば日本テレビが地上波や衛星波で放送する巨人戦の視聴率が上昇して業績が好転、株価が上昇する傾向にあることに着目し、故意に外角ギリギリのストライクゾーンに入る変化球を連投して勝っていた。

 中間報告の内容には警視庁も注目しており、ある刑事は「純粋な気持ちで勝ったのなら適法だが、株価上昇を狙って勝ったとすれば、野球株式賭博とも呼ぶべき行為」と指摘。近くこの投手から任意で事情を聞く方針だ。

カテゴリー: スポーツ | 巨人選手、日テレ株式でも賭博行為か? はコメントを受け付けていません。

不祥事続発 揺らぐ「まじめ社員」の信頼

 企業や団体で事務局長や幹部社員による公金の横領事件が多発している影響で、「まじめな社員」の信頼性が大きく揺らいでいる。このままではまじめ社員の権限縮小につながるとして、真性のまじめ社員を擬似まじめ社員から区別する検定制度の整備を求める声が強まっている。

 昨年7月に発覚した、一般社団法人電信柱広告安全管理協会を舞台にした巨額の横領事件。21年間事務局長の座にあった男(懲戒解雇)は会員企業から集めた約1億6000万円を横領した容疑で逮捕され、一審で懲役8年の有罪判決が確定した。男が外国籍の女性に貢いだとされる金を回収するメドはまったく立っていない。

 現在、解散に向けた手続きを進めている協会の関係者は、元事務局長について「まじめそうな人で、歴代理事長の信頼も厚かった。横領がいまでも信じられない。それだけに悔しい」と語る。

 横領事件の多くで、こういった思いを関係者が口にする。「まじめ」「堅物」「尊敬できる人」「毎日まっすぐ帰宅していた」「ミスをしたことがない」「仕事一筋。何が楽しくて生きているのかと思った」。こうした評価を得ている人物だからこそ公金の管理を長年にわたり一任され、チェック機能は形骸化して機能せず、被害が拡大する。

 不正には縁のない大部分のまじめな会社員や団体職員には困惑が広がる。「横領事件が明るみに出て、『容疑者はまじめと見られていた管理職』などと報道されるたび、社長が疑いの目を私に向ける。まったくの風評被害だ」と語るのは、千葉県内で老舗の水産加工品メーカーに勤務する50代の財務担当者、Aさんだ。

 企業のコンプライアンスに詳しい青山大学大学院の橋田秀教授は、「一見まじめそうな社員の中に実は不まじめな社員が混入しており、彼らが予想もしなかった不正に手を染めることは経験的にわかっている。スーツの着こなし、髪型、言葉遣いなどから両者を判別するのは難しく、まじめな社員は高リスク群と最初から認識しておいたほうが、不正防止のためには有効ではないか」と指摘する。

 橋田教授は4月にも、会社でまじめな働きぶりが評価されているボランティア100人の協力を得て、外国籍の女性ホステスが勤務する錦糸町のスナックで甘い誘惑に対する彼らの耐性を調査する予定。集めたデータは今後の不正防止体制の整備に活かしたい考えだ。ボランティア100人については下心が応募の動機である可能性が大きいことから、勤務先に即時解雇を勧告する。

カテゴリー: 経済 | 不祥事続発 揺らぐ「まじめ社員」の信頼 はコメントを受け付けていません。

ボウリング業界変える「ガター革命」

 「ファール3本打ったら、問答無用でバッターアウト。そんな野球が面白いと思いますか?」

 キングボウル(東京都駒込)の赤井範義社長(54)に、日本ボウリング評議会から除名されてまで独自ルールを採用した理由を尋ねたところ、強い口調でこんな問いが返ってきた。

 赤井が生まれた昭和40年代はボウリングブーム。父の清人が昭和38年に開いたキングボウルは連日満員で、週末の大会には東京はもちろん北関東からも腕自慢が集まった。昭和末期からブームは下火になったが、古参の従業員たちが丁寧に設備やレーンを入念に手入れして、館内のレトロながら心地よい空間を維持したことで、ベテランのボウラーからの支持を集め続けた。

 「継ぐ気なんてまったくなかったんですよ」と赤井は笑う。私大商学部を卒業して経営コンサル会社に就職。40歳で部長まで出世し、仕事にやりがいも感じていたが、いまから10年前に清人が急逝した。自分の幼いころから父とキングボウルを営んできた10人の従業員に辞めてくれと言えず、コンサルとして蓄えた知識が本物なのか確かめてみたいという気持ちも手伝って、45歳で社長に就任した。

 すぐに気がついたのは、業界全体に蔓延していた顧客軽視、クレーム軽視の体質だ。キングボウルはベテラン・ボウラーに支えられていたが、なかなか新しい得意客を集めることができないのは、その体質が原因だった。

 「初めてボウリングを経験した人は、素質のある人でも10%、素質のない人なら70%の確率でガターを出すと言われています。ガターの回数が多い人ほど、ボウリングの印象は悪くなる。ガターさえなければ、今頃週末ごとにボウリング場に足を運んでいた人も多いはずです」

 ボウリング場の各レーンの左右に残るガターの溝は、一度固まったらどんなに力を込めても開かないマジックインキのフタ、購入者に「丸ごと粉砕したろか」と一度は思わせるCDの包装フィルムと並ぶ、「日本三大放置欠陥商品」だ。赤井はそう言ってはばからない。業界の景気が良かったころは多少の欠陥があっても客が来たが、いまはそんな時代ではないと力説する表情は、コンサル時代に戻っている。

 社長就任の1年後には、全28レーンの4分の1のガターを埋め、隣接するレーンの間に壁を設置、初心者専用とした。ガターがなくなり、初心者がボウリングを楽しんでくれていることは、表情から明らかだった。日本ボウリング評議会からは世界統一ルールの遵守を強く要求され、従わなければ除名すると警告されたが、赤井は無視した。大学生、高齢者、主婦など、幅広い層で初心者がリピーターになるなど、顕著な効果があったためだ。

 心配していたのは、長年経営を支えてくれた上級者やベテランたちの反発だが、杞憂に終わった。オープン以来半世紀以上通っている小村登志夫(78)は、「私たちのレベルに達すると、ガターを出すことはまずないので、溝があってもなくても影響はない」と言い切る。「むしろ、若い人が増えてボウリング場に活気が出てきたのがうれしいね」。好意的な反応に自信を深めた赤井は、昨年末までに全28レーンのうち27レーンでガターを埋めた。

 キングボウルの成功に触発され、これまでは静観を決め込んでいた全国のボウリング場の中にも、一部のレーンで同様の改修を行ったり、ガターの溝にもピンを並べるなどの改革に乗り出すところが出てきた。いま、駒込の古いボウリング場を起点に、革命の波が全国に波及しつつある。

 赤井が見据えるのはさらにドラスティックな改革だ。残り1レーンでは現在、工事が行われているが、レーンの全幅にわたりガターのような溝が掘られており、ピンに近づくに連れて徐々に細くなり、緩やかな曲線を描いて先頭に立つ1番ピンとその右後方に立つ3番ピンの中間に達する。どんな初心者が投げても、8割以上の確率でストライクを出すことが可能だ。いまやボウリング業界の「風雲児」と呼ばれる赤井は語る。

 「全力のガター。すべてのピンが倒れるのを目で確認する直前、振り向いてガッツポーツ。そんな醍醐味を初心者にも味わってほしいんです」

カテゴリー: スポーツ | ボウリング業界変える「ガター革命」 はコメントを受け付けていません。

カラス除けCD、初のダブルミリオン

 昨年秋に発売された世界初のカラス除け専用CDが日本国内でも好調に売り上げを伸ばし、1月末までに初めてダブルミリオン(200万枚)を突破した。音楽CDは不況が続いており、業界の主流はすでに害鳥・害獣対策に移ったとの見方が強まっている。

 日本モンサントの子会社が発売したカラス除け専用CDは、非円形のデザインが特徴。風に吹かれると複雑な動きを見せ、風切音も不規則であることから、従来の音楽CDよりも強い威嚇効果を発揮する。記録媒体としての活用をあきらめ、販路もHMVやツタヤといった従来の音楽ソフト販売店ではなく、JA系の農業資材販売店やホームセンターを主力としたことが奏功した。

 音楽ソフト媒体として1982年に発売されたCDは、その後コンピュータ用のデータ記録に用途を広げたものの、ネットを利用したコンテンツ配信が一般的になり、近年は需要が縮小傾向にあった。代わって注目されるようになったのがカラスをはじめとする害鳥駆除の効果。昨年の国内市場におけるCD売上の39%が音楽用、9%がデータ用だったのに対し、害鳥駆除用は52%と、初めて半数以上を占めた。

 ネット配信サービスの値下がりで音楽CDの売上は今後も減少傾向が続くとみられ、CD業界では害鳥・害獣対策需要への注目度がさらに高まっている。ソニー・ミュージックは今春にも猫よけCDを、テイチク・エンタテイメントは漁業被害が拡大する夏までにトド除けCDをそれぞれ発売する予定だ。

 しかし、カラスやネコ、トドが音楽CD業界の救世主になるとは限らない。米グーグルでは畑や住宅地のごみ捨て場、漁場を無人カメラと人工知能で監視し、遠隔操作のスピーカーや無人車両でこれらの動物を威嚇するシステムを開発中。今後の成果次第で、CD市場が根こそぎ駆除されるおそれもある。

カテゴリー: 文化 | カラス除けCD、初のダブルミリオン はコメントを受け付けていません。